経済の温度の1つに「開廃業率」がある。皆様もご存じのとおり、日本においては開業率より廃業率が高く事業所は減少傾向にある。

開業と廃業とは相反するように思えるが、相互に関係性が高く既存の企業に与える影響も大きい。

日本中の付加価値の総計はGDP(約500兆円)であるが、この中には開業後間もない企業の付加価値および廃業前(実質破たん企業)の付加価値も当然含まれている。

廃業前の企業の特徴として2つがあげられる。1つは後継者不足によって高齢の社長がやむなく経営を続けている場合、もう1つは債務超過の企業で代表者が保証債務していて廃業したくともできない場合がある。

国内の付加価値が増えない場合は需要の食い合いになり、実質的に破たんしている企業(金融機関の不良債権化先)も生き残ることで、本来であれば開業間もない企業や成長企業へ移転すべき需要が、実質破たん企業に取り込まれているため、成長のサイクルが低下してしまう。

まさに中小企業のエコシステムの崩壊である。結果的に経済の体温が低下してしまい「低体温病」になっている。これもデフレの1つの要因になっている。

再度、エコシステムを回復するには廃業すべき企業を迅速に廃業することで、開業率を高めることだ。

上記課題の解決策として、代表者の債務保証を外すことである。債務保証から外れることにより企業が債務超過に陥る前に、廃業およびM&Aによる既存企業への需要の移行と失業なき労働移動が可能となる。

「開業と廃業」は、鶏と卵のようなものかもしれない。時代的な背景や経済状況により異なるが、間違いなく言えることは将来に対する「希望」である。これが開業率を高めデフレマインドを払拭すると考えるのは小生だけなのだろうか?

それでは・・・。

(文責-山口彰敏)